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共通テストリサーチ、利用上の注意点(本論)

 序論の続きです。。
 第一志望だった神戸大と候補に挙げた4大学、その配点と前年の合格最低点を列挙すると、以下のようになります。

    一次配点 二次配点 2020年合格最低点
神戸大  360点  450点  616.96点
岐阜大  800点  1200点  1552.40点
三重大  600点  700点  984.00点
浜松医大 450点  700点  830.87点
滋賀医大 600点  600点  810.00点

 想定した共通テストの得点率は83%でした。配点の違いはここでは考えず、一次配点からその得点を算出し、前年の合格最低点クリアするために二次試験で何点取る必要があるか、得点率(必要な点数÷二次配点)を含めて整理すると以下のようになります。

    一次得点 必要な二次得点  二次得点率
神戸大  298.8点   318.16点   70.70%
岐阜大  664.0点   888.40点   74.03%
三重大  498.0点   486.00点   69.43%
浜松医大 373.5点   457.37点   65.34%
滋賀医大 498.0点   312.00点   52.00%

 さて、二次試験で何点取れば前年の基準で合格を手にできるか、合格可能性が一番高かった滋賀医大は、明らかにその得点率が低くなっています。これをどう捉えるか。「少ない得点で合格できるから入りやすい」と考えたとしたら、それは大きな間違いです。医学部をめざす受験生でも容易には得点できないような、つまりは難問が出題されると考えなければなりません。これが、医学部受験生のみを相手にする「医科大学」の特徴なのです。

 一方、神戸・岐阜・三重の3大学は、7割前後の得点が必要です。これらは多くの学部学科で構成される総合大学で、他学部と共通の問題が多く、医学部に合格するためには高得点が求められる標準的な問題で構成されているのです。神戸大学をめざし、その過去問を中心に勉強してきた受験生にとって、どちらの問題が取り組みやすいか、答えは明らかですね。

 滋賀医大へのチャレンジは、長距離の練習を繰り返してきた陸上や水泳の選手に、いきなり短距離への出場を求めるようなもので、わずかな合格可能性の差など吹っ飛んでしまうようなリスクに満ちています。

 リサーチデータのみに頼る出願校選択の危険性を、理解していただけたでしょうか。そもそも論として、見に行ったことも考えたこともない大学を、入試まで一か月少しの時期に受験校として決めるのはいかがなものか、ということになりますが、合格可能性という一面を切り取ったとしても、それまで準備してきた勉強の内容と、受験校の入試問題の中身のマッチング(相性)についても、十分に吟味する必要があるということです。

 では、この受験生はどこに出願すべきか、筆者が同じ立場に立ったとしたら、どこを受けに行くか、次回に種明かしすることにします。

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